二人の関係は大丈夫?セルフDVチェッカーで見直すパートナーシップ

column

2025.10.27
  • コラム

パートナーとの関係は、心だけでなく性の健康にも大きく影響します。

安心して自分らしく過ごせる相手との関係は、自然と性生活も心地よくなります。
反対に、言葉や態度で傷つけられる関係は、心に影を落とすだけでなく、からだの反応や性への向き合い方にも影響を与えてしまうのです。

「DV(ドメスティックバイオレンス)」と聞くと、殴る・蹴るといった身体的なものを思い浮かべがちですが、実際には見えにくい形でも起きています。

たとえば…
強い言葉でコントロールされる
避妊に協力してもらえない
性行為を強要される

こうしたこともすべてDVに含まれます。

バゲットの袋に印刷されて広まった!フランス発「暴力チェックメーター」

2018年末 フランス・パリ市は「暴力チェックメーター(Violentomètre)」を作りました。

赤・黄・緑の3色で関係性の危険度を示すシンプルなツールで、「これって健全?」「少し危険かも?」と直感的に振り返ることができます。

2021年にはフランス全土でバゲットの紙袋に印刷され配布され、市民の意識を高めるアイデアとして話題に。

このツールは「暴力に気づくこと=自分を大切にすること」というメッセージを届けています。

日本でも使える「デートDVチェッカー」

日本でも、ふたりの関係をふり返るツールがあります。

TENGAヘルスケアの「デートDVチェッカー」は、暴力の定義や性的同意の基準をグラデーションで表現。

オリジナルキャラクターもあしらわれ、日本の若者にも親しみやすく、定規やしおりとしても活用できます。会員登録でダウンロード可能です。

「私たちは大丈夫」と思っていても、一度チェックしてみると意外な発見があるかもしれません。
これは、性の健康を守る第一歩にもなるツールです。

暴力の形態を知ろう

暴力には様々な形があります。単独で起こることもありますが、多くは複数が重なります。

身体的暴力

殴る、蹴る、髪をひっぱる、首をしめる、物を投げるなど。
刑法上の違法行為で、配偶者間であっても処罰の対象です。

精神的・言葉の暴力

大声でどなる、無視する、人前でバカにする、行動を制限する、命令口調で従わせるなど。
長期化するとPTSDや不眠、食欲不振など、心身の健康に影響します。

経済的暴力

生活費を渡さない、働くことを制限する、貯金を勝手に使うなど、自由や選択の権利を奪う行為です。

性的暴力

見たくないのにポルノビデオやポルノ雑誌をみせる、同意のない性行為の強要、中絶や避妊の強制、性的画像の無断公開など。夫婦間であっても、同意のない行為は犯罪です。

デジタル・社会的暴力

無断でスマホやSNSをチェック、友人や家族との付き合いを制限、孤立させるなども暴力に含まれます。

多産DVという現実

近年注目される「多産DV」は、避妊を拒否され、妊娠や出産を女性の意思に反して繰り返させられるケースです。
妊娠・出産は女性のからだに大きな負担をかけるため、尊重されず繰り返されることは、心身の健康や性生活を安全に楽しむ権利を奪う暴力です。
「結婚しているから大丈夫」という安心感は、誰にでも起こり得る事実を見落とすことにつながります。

不安を感じたときの相談先

セルフチェックで「心配かも」と思ったら、一人で抱え込む必要はありません。
専門の相談員が秘密を守りながら、安心して話を聞いてくれます。

o365日対応
o24時間電話相談
o10か国語対応(チャット)
o男性の相談も可能(毎週日曜15〜21時は専用回線)

誰かに相談することは、弱さではなく自分を大切にする強さです。

まとめ

パートナーシップは、性も含めた人生の大切な基盤です。
お互いを信頼し合う関係は、自然と性の喜びや親密さを育みます。
ぜひ一度「デートDVチェッカー」を使って、二人の関係を振り返ってみてください。
あなたとパートナーが、尊重し合い、安心して愛し合える関係を続けられますように。

筆者紹介:OliviA(オリビア)

ラブライフアドバイザー/日本性科学会会員
2001年よりセクシュアリティやジェンダーの研究を始め、2007年から性に関する総合アドバイザーとして活動。
メディア出演、執筆、講演、カウンセリング、商品開発など幅広い分野で、「女性のセクシュアルウェルネス」や「コミュニケーションを重視した性生活のあり方」を提案している。著書は日本・台湾で出版。

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